競馬で負けて頭を抱えた所からの~逆転劇!!でも、勿体ない話。

とある金融機関から借りて勝負!!

まあ競馬をやった事がある人なら一度や二度は経験のある人も

いる事と思います。

ある月の事、競馬好きの友人Aは、給料日前で全くお金がなかった。

なぜかと言えば、競馬でいつもの月よりも負けが込んでいたからだ。

運も悪かったのだろう。

だが、給料日までは、あと残り5日。

5日間だけしのげば、何とかなる。

食料を買うお金も全くないが、とりあえず家に米はあるので、

腹が空いて困る事はない。

しかし、そんなAにも、一つだけ心残りがあった。

それは、給料日前の今から2日後に競馬がある事だった。

どうしても狙っているレースがあったのだ。

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Aの中では、単勝鉄板の馬。オッズはおそらく堅いがそれでも

もし給料が残っていたら、その馬に全額入れようと考えていたくらいだった。

ところが、今は一円もない。

どうしようか考えてみても、しょうがないので諦(あきら)めることにした。

ですが、一旦諦めたはずの気持ちも時間が経つと、やはり勿体ないという思いが

脳を駆け巡る。こんなチャンスそうそうない。

でも、ないものはなあーと何気にTVを見ていると、とある金融機関のCMが

やっていた。しかも、30日無利息というのだ。

Aは、いやいや借金してまで競馬はしない。

それは昔から決めていた事で、自分で決めた事だけは破らないと

心に誓っていた。だが、、心が揺らぐ。

そして、ついに、、当ててすぐ返せばいいという結論に替わった。

いざ出陣!!

さあ借りてきた30万を握りしめてAは、競馬場へ向かう。

心の中は、ワクワク感とドキドキ感が交差する。

しかし、買うレースに買う馬に迷いは、ない。

競馬場に着いたAはすぐに馬券を買おうと思ったが

そこは一旦思いとどまることにした。

やはり、馬体重とパドックは一応見ておこう。

なんせ勝負する金は、自分のお金だけど、ある意味自分のでは

ないからな。

この判断は、まさに素晴らしいの一言。

該当レースがやって来た!

そして、いよいよ運命のその時がやって来た。

馬体重の発表を聞いたAは、がく然とした。

なんとプラス20キロ。

うーん、これは、かなり買うのを迷うほどの体重の増加。

いや、でもパドックを見よう。

Aはパドックで該当馬を見る。

あまり太くは見えないし、動きも活気がある。

しかし、やはり問題は体重。

どうする?買うのを辞めるか。

ここでAは、判断を迫られる。いや、本当は迫られる必要など

ないのだが、わざわざ借りてきたという気持ちがAを突き動かし始めた。

ただ返せば良いだけの話、利息もかからないのだから

最初から何もなかったと思えば良い。

でも、人間とはこういう時、妙な意地みたいなものが出る。

ここまで決めてきたんだ。買うしかない!

そして、Aは買う意志を固めた。

だが、やはり20キロ増量はきつい。

そこでAは、複勝で買う方向性を考え始めた。

そうだ!単勝で危ない橋を渡るくらいなら、複勝で安心感を

持ってみてたほうがいい。

幸いな事にプラス20キロが嫌われたせいか、単勝オッズも予想よりも

上がっている。

複勝でも、1.3倍は最低でもつくオッズになっている。

こんなにつくなら、、よしっ!複勝だ!

そう決めたAは、30万をその馬の複勝に注ぎ込んだ。
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レースの始まり始まり。

レース開始1分前。

Aは、もういても立ってもいられず、ソワソワしていた。

Aの心境は、まさに甲子園で映し出されるバッターボックスに立つ

球児のようで、手で胸の当たりのシャツをギュッと握っていた。

いよいよ、スタートしました。

該当馬は、まずまず良いスタートを決めた。

Aはとりあえずよしっ!よしっ!と心の中で声を出す。

後は上手く脚をためて4コーナーで仕掛け、直線で粘り込めれば、頼む。

レースはまさにAの予想通りの展開。

Aは、4コーナー前でもらったと思ったそうだ。

だが、該当馬は少し仕掛けが早すぎた。

追い出しを待てなかったのか、それとも力が鈍ってきたから

早めに仕掛けたのか、直線ですぐ先頭に立ってしまった。

Aは、ヤバイと思ったようだ。でも、それも一応現在は先頭だ。

3着でいい!

そのまま、そのまま、粘り切れ!Aは、両手を合わせて握り、頼む×お願いを

心の中で連呼しまくる。

該当馬は、かなり粘っていた。残り200mまだ先頭だ。

Aの目は一段と大きくなっている。普段の細い目が嘘のようだ。

これは、自然なる整形とも言える目だ。

そして、心の声がいつしか表に出ていた。

頼むいけーーお願いだーー何とか粘ってくれー。

公衆の面前なんて気にも留めずAは、叫びまくった。

該当馬は、100mを切ってもまだ先頭にいた。

この時のAは、単勝で買っておけば良かったかと一瞬脳裏をよぎったくらい

だった。

ところが、もう少しでゴールの50mくらいで馬の勢いが止まった。

そこに後続の差し馬が、勢いよく追い込んでくる。

Aは、あーーーーという声をあげる。1頭に交わされ、2頭目にも交わされた。

頼む3着でいい3着でいいんだ。粘れーそんな声も虚しく該当馬は、3頭目にも

最後アタマ差で交わされていた。

アタマ差で30万を失ったAが、頭を抱えているなんて笑えない冗談だ。

放心状態のAは、そこからしばらく身動きが出来なかったそうだ。

そして、紙くず馬券も、未練がましく捨てられず、心の整理が付かないまま、家路へ。

逆転劇編へと続く。

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逆転劇は諦めた時にやって来る。

ボロボロになったAは、もう何もやる気がおきず

帰宅すると、同時にボロ雑巾のように身体ごと床に落ちた。

現実は甘くなかった。

何といっても、すぐ返すはずだった30万はもうないのだから。

これから、働いてチマチマ返さなければいけないという事を

考えるとその脱力感と後悔の波の中でAは、苦の一文字が

似合う男となっていた。

考えても、どうしようもない。

ただ時の流れに身を任せて、生きるしかない。

半年いや、1年もすれば、完済しているだろう。

そう虚しい言葉を自分にかけ、湧いてくる後悔の声を黙らせた。

奇跡を起こす1日の始まり。

人間とは面白い生き物である。

あんなに落ち込んだ1日も次の日には、いくらか気分は

マシになっている。

しかも、幸いな事に、今日は日曜日。

仕事が休みというだけで心が救われたような感覚だ。

金はないが、無欲のジョギングもたまにはいいだろう。

早朝4時、Aは、明日に向かってなんてかっこいい言葉は

ないが、ただ何も考えず走り出した。

昨日の事を早く忘れたい。ただそれだけだった。

走り始めて30分も経つと、息が上がり苦しくなった。

じわじわと湧き出る汗。

でも、走ってるこの瞬間だけ、この辛さがあるだけ

まだ生きてる実感があるような気がしてAはさらに

走り続けた。

そして、やがてそれは快感にも似たような感触を得る事が

できた。早朝の涼しさと新鮮な空気がAのモヤモヤ感を

だいぶ飛ばしてくれたようだった。

その後、家路につくA。

ネット口座の僅かな残高。

疲れ切った身体に心地良さを感じていると、ふと何かに気づいた

ようにパソコンの電源を入れた。

そこで、ネット銀行の残高を確認すると、Aの口座には1000円が残っていた。

1000円あったか、これをおろして今日はカレーでも食べるかと

一瞬思ったAだったが、本来そんな男ではない。

日曜日と言えば、競馬開催日。

全額勝負!

Aは、ダメ元で1000円を掛けて、当たったら、その全額をまた

次のレースに掛け、ずっと配当の全額をかけ続けようと心に決めた。

まあどうせ1000円だし、1レース目で外れたら終わりだけど、そうしよう。

もしかすると、この1000円に気づいた事が吉となるやもしれない。

そんな運任せの男に、競馬の女神は微笑むのか。。

とにかくAは、自分の持てる力をすべて使って、予想をした結果。

厳選した4レースをやる事を決意。

そこに迷いはなかった。

まず1R目、当然の如く1000円を投入。

2番人気単勝5倍の馬をセレクト。

まあ当たったらラッキーくらいの気持ちでいると

ナント見事1着。

これで1000円が5000円になった。

とはいえ、5000円。昨日失った金額と比べたら大した金

ではない。

迷わずAは2レース目に5000円をすべて投入。

2レース目は、人気馬同士の馬連を購入。オッズは6.7倍

何となくだが、Aは当たりそうな予感があった。

こういう時というのは、なぜか冷静にレースを見ていられたりする。

Aの予感は見事的中。2レース目も当たったのである。

そして、資金は33,500円となった。

1000円が、3万になった。

Aのテンション確実に上がりつつあった。

そして、3レース目である。

Aが狙っていたのは、馬連1点買い。オッズは19倍である。

ここでAに迷いが生じた。全部迷いなく投入するはずが、勝った時の

配当を考えると、いや負けた時の気持ちを考えると、急に3万が惜しく

なり始めたのだ。

そこで、選択したのは、馬連ではなくワイド馬券。

ワイドでも7倍はつく。

Aは結局迷ったあげく、ワイド馬券を購入する事にした。

その結果、的中はしたものの、かなり悔やまれる結果になった。

なぜなら、馬連で的中していたのだ。

もちろん、ワイドでも当たったのだから、良かった話。

だが、馬連なら60万を超える配当。

昨日の負債を取り戻したうえに30万のボーナス付きである。

ところが、ワイドでは、234,500円。もちろん十分と言えば

十分。元金1000円が20万を超えたのだから。

最後の決断!

Aは複雑な心境のまま、最後の4レース目を迎えた。

さあ最後は単勝1番人気オッズは3.2倍。

どうする?全部ぶち込むか。

ここで、またひ弱な気持ちがAの中を揺らす。

もういいんじゃないか。辞めても。今なら

給料を上乗せして返済すれば、小さい傷で済む。

しかし、負けたら結局30万の負債はそのまま残る。

いや、ダメだ。ここは決めていたレース。

ここで買わなきゃ男じゃない。

意地でもやると決めたAの決断は、単勝ではなく複勝に替わっていた。

複勝に全額勝負。

さあレースがスタート。Aの買った単勝1番人気は、最後方。

だ、大丈夫か。

しかも、大きく離れての最後方だ。

Aは、この時やっぱり全額なんてぶち込むんじゃなかったと

思ったそうだ。

ところがレースを見ていると、明らかに先団のペースが速い。

ハイペースだ!しかも超ハイペース。

3コーナーを回ったところでAの馬はまだ最後方。

届くのか。ドキドキタイムである。

しかし、先行馬が4コーナーを回る頃になると

Aの馬は、もうすぐ後ろまで迫っていた。

そして、直線である。

Aの馬は、突き抜けた。

後続とその差がみるみるうちに開いていく。

結局Aの馬がゴールした後に2着馬がゴール板を駆け抜けたのは

だいぶ後の事だった。

Aは、またもや頭を抱えた。嬉しいのは百も承知。

しかし、なぜか素直に喜べない。

複勝は、人気薄が絡んだことで1.5倍はついてくれた。

払い戻しは35万超え。これは嬉しいが、本当ならば70万近い配当を

得ていたはず、、いや、3レース目も馬連を買っていたら、総額は

200万を超えていた。

Aは、その日確かに競馬の女神に微笑まれていたのだろう。

だが、すべてを活かしきる事は出来なかった。

後で考えたら、半分ワイド半分馬連、半分複勝半分単勝でも

良かったんじゃないか、とも思ったそうですが、後の祭り。

でも、それにしても逆転はしたのだから、

良かったのではないでしょうか。

1点買いで、4レース全的中なんてそうそうないですからね。

かくしてAは、ジェットコースターのような2日間を送ったのであった。

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